くちびるに歌を

くちびるに歌を

散らぬ牡丹の一つでいい。君の胸を打て。

ストーリー・オブ・マイライフ 12/13 マチネ 兄ペア

12/13

マチネ

読売大手町ホール

兄ペア

 

SOML初見の感想
「日本一明るい葬式ミュージカル???審議です」

 

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トーマス(平方元基)
・私も地元を出たいと思っている上、ほんの少しだけアルヴィンのような友人がいたことがあったので辛くなりました。咀嚼すればするほど心の柔らかいところをついてきて心が痛い。
・最初から追い込まれてはいたのですが、真相が分かっていくにつれてどんどんびしょ濡れになった犬みたいな顔になっていくトーマスが辛かったです。
・最初に出てきたエピソード全てがトーマスの描いた物語になってしまっていると知った時鳥肌が立ちました。「追いかけていたのは、君じゃなくて僕だった」…
・確かにこの物語はここで終わればハッピーエンドなのですが、アルヴィンの物語を描けなくなったトーマスが一体どうやって生きていくのか…そう考えるとハッピーエンドとは言えないのではないか…

 

アルヴィン(田代万里生)
・ふわふわ生きてたアルヴィン。すごくチャーミングな前半からずっと悟りを開いたように微笑んでいる後半がもう辛くて辛くて堪らなかった。
・ストーリーオブマイライフのmyって誰だったんだろうね…

・彼にとってトーマスとの友情は「恋みたいな友情」だったんだろうな。恋愛ではない。でもそれに等しいくらい重い友情。

・アルヴィン、街を出れなかったことがショックだったというよりトーマスに蔑ろにされたことがショックだったんだと思う。

・「分からない」で終わらせると思わなくて、うわあああって思ったし、それが一番正しいんだよな。一番酷だけど。いくらでも美化出来たし、逆にトムを悪役にすることも出来たのにアルヴィンはそれをしなかった。


アルヴィンはどういう存在なのか/あの本屋はどのような空間なのか

①トーマスの想像/トーマスの心の中の本屋
初見の時感じたのはこの解釈かな。
全てトーマスの脳内で起きていること。本屋は脳内にあるイメージであり、あの弔辞を書いてと言ってくる現実空想軸アルヴィンはあくまでトーマスの中で再構築されたアルヴィン。トーマスの心が飼っているアルヴィンってこと。ただ、この解釈だと現実のアルヴィンは喧嘩別れしたアルヴィンで、ずっと寂しかったアルヴィンで、しんでしまったアルヴィンになるので本当に救いがなくなる。

②アルヴィンの亡霊/生と死の狭間にある本屋
フォロワーさんの解釈でハッとしたもの。トーマスがあの世とこの世の狭間の国でアルヴィンと対話しているという解釈。これだとちゃんとアルヴィンと仲直り出来ているので大変救いがあります。

③アルヴィンの亡霊/本当の本屋
こっちの線もあるかもしれない。

 

アルヴィンはなぜしんだのか
物語の性質、そして教訓上「分からない」が正解なので深く掘り下げようとは思わないのですが、事故なのか自死なのか。もし自らだとしたら、トーマスへの反発が産んだものなのか、絶望が産んだものなのか、それとも他に事情があったのか。個人的にはフォロワーさんが「トーマスに書いてもらうため」という解釈をしていて1番希望がありしっくりきました。

私たちはこのように物語をつけようとしてしまうけれど、彼の物語のエンディングは彼にしか分からないんですよね。肝に銘じておきたい。

 

SOML、現代軸の本屋とアルヴィンの解釈、アルヴィンの死の動機の2つは観劇した人に該当アンケートしたい内容ですね…みんなそれぞれの解釈を持っていそう。

 

 

SOMLの中で1番好きで1番怖かった曲は通称「カオス」でした。私の脳内では「地獄のエレクトリカルパレードって呼んでいた。トーマス側には初めて話すセリフが含まれているという噂があるので次はじっくり聞きたいです。


「なんかよかったな〜」ってさわやかに終わってはいるけど、考えれば考えるほど何も良くなかったことが分かるミュージカルが大好きです。

再演したら最前でおふたりの表情を是非見たい!!!