くちびるに歌を

くちびるに歌を

散らぬ牡丹の一つでいい。君の胸を打て。

はじめての繭期2021について

やっと落ち着いたので、溜め込んでいた今年の舞台の感想を放流します!!

まずははじめての繭期2021から!!!

 

SPECTER(再演)

村の最悪さが滲み出ているキャスパレが大好きです。 曲が途中で拍子が変わるから気持ち悪さが増す。


ガバンリ

・最期が焼き付いて離れない。

・強さと優しさが両立した武士のような人だった。この人が「リリィ」の旦那さんなのが納得出来る。
・キャスパレの冒頭の群衆に飲み込まれる演出。ガバンリが亡霊だから亡霊の村に取り残されるように見えて辛くなった。

セキシュン

・この人なら今後悲しい結末になっても納得出来る。ほんとうにガバンリの死を悲しんでいた。
ノーム

・この子がガバンリになるのか。胸に迫るものがあるな。
ローザ

・美しくて狂っていた。この人に尽くす人が多いことに納得する。

・泣き顔が怖かった。人を惑わす顔をしていた。
シャド

・キャラ造形も結末も全く異なっていておどろいた。確かに人が狂うような造形のキャラクターだ…

 

COCOON月の翳り

青春が無惨にも壊される青春物語だった。エーミールとウルの演じ分けをしていた宮崎さんが最強で大好きです。

 

↓ここから見るのが2回目作品です↓

長文が続きます!!

 

COCOON星ひとつ

「誰もこの死を嘆かせたりしない」
「お前の死は希望なんだ」

 

物語の最後について

ダリちゃんほんとにほんとに大好きなんだけど、1発殴らせて欲しいです。星ひとつ2回目だったんだけど2つの感情を持ちました。1つ目はダリちゃんの思いを否定したくないと言う感情。2つ目は私の信念上どうしてもダリちゃんの教育を肯定したくないという感情。

1つ目の感情。

ウルとラファエロの目線だとダリちゃんの言葉は都合のいい解釈かもしれない。でも、その人の死を受け入れないと、ちゃんと肯定しないとやっていけないこともあるんだよ。その人の生の物語の肯定が、その人へのはなむけになるといいなって、生きていく人は願わずには居られないんだよ。ただこれは死への物語の付加じゃなくて、「生への肯定」じゃなきゃいけないんだ。ここは間違えちゃいけない。末満さんと死生観が一致してるタイプではないんだけど、ダリちゃんがウルの死を「誰もこの死を嘆かせたりしない」って言ってくれたことと、黑世界のリリィちゃんの生き方だけは、ありがとうと言いたい。全力で。

2つ目の感情。

どうしてもウルやラファエロの立場になるとこの終わり方が空虚なものに見える。あと私が学んでいる学問の立場上、どうしてもダリちゃんの教育について恩情を与えたいと思えない。ダリちゃん本人は自己完結出来たとしても、ウルとラファエロの顛末、そして絶望して死んだことは変わりのない事実なんです。それはダリのはたらきかけでもう少しどうにかなったことだし、本人が無理だった場合は外部がどうにかしてあげるべきこと。未然に防げたであろうこと。この世界の児童相談所どうなってるんですか?

でも少なくとも繭星は、物語としてはウルの話なのに、最後にはウルを送ったものの肯定の話に変わることは揺るぎない。ウルの物語は生きるものの物語に昇華されたということなのかな。

 

グランギニョルとしての繭星

繭星がグランギニョルだって分かるの好きなんだけどそれによって、TRUMP(繭星)がグランギニョルの一部に集約してしまうのがめちゃくちゃ嫌だな。TRUMP(繭星)はウルの物語のはずなのに。ただダリちゃんから見るとグランギニョルの一部でしかないんだよな。悔しい。

 

グランギニョル(ブルーレイ)

ブルーレイめちゃくちゃ画質が良いね…

 

演出あれこれ

・人形のように回る人達はダリちゃんの客観性を表している気がした、、、ダリちゃんのあの余裕と情がある冷めた視点。
・りょんは1789とマタハリで自滅していく役がめっちゃハマることを知っているので、あなたのポテンシャルはこんなものじゃないだろ!!って気持ちになる。また末満作品出て欲しいな。

 

ダリ・デリコについて

末満さんの舞台、刀ステだと大切なものを失って戦えば戦うほどまんばは美しくなっていくし、TRUMPだと死者を背負えば背負うほどダリは誇り高くなってくんだよ。逆境に立たされれば立たされるほど主人公は輝く。

 

ダリちゃん辛い時ほど余裕を見せるんだと思う。グランギニョルと星ひとつでダリちゃんは妻も大切な息子も、守ると約束した第2の息子も、デリコ家の血筋も、全部全部失った。ひとりぼっちになってしまった。でも、今後ダリちゃんは笑いながら余裕を見せながら、いつもと変わらない様子で仕事をするのだと思う。あたかも全ての出来事を引きずっていないように。狂うことも出来ずに。

その力はダリちゃんの気質によるものだと思う。ダリちゃんってなんか他人事というか、俯瞰している視点があるというか、周りに対して流動的に立ち回るんだよね。キャストパレードで表されているように、探偵のように登場人物をしっかり見た上でその人にあったような行動をしているように見える。ある意味八方美人で相手の懐に入るのが上手い。(ただ妻と子に関しては全くそのように動けてない)
だから、例えば繭星のラスト、あそこに誰もいなかったら、ウルと2人きりだったら、ダリちゃん違う言葉を発したと思う。ダリちゃんは自分の感情も美化してしまう。自分も他人も昇華して美しい物語として完結させることが出来る人。可哀想な人。だから苦悩する息子たちの気持ちが分からなかった。メンタル強すぎるんだよダリちゃん。

 

ダリ・デリコの今後

私はダリちゃんには真っ当に生きて欲しいんだよな。いっそ今後の物語展開に出なくて良いよ。静かに生涯を終えて欲しいと思っています。でも、ダリちゃん、マリーゴールド世界線まで語られるくらいの「伝説の」吸血種になるはずなんです。何をするんでしょうね。伝説になるって、よっぽど偉大なことをしたとか、改革をしたとかしないと…それか偉大な死に方をしたとか…末満さん脚本ならラスト発狂死させるとかもありそうで嫌だな。ダリちゃんTRUMP作品では貴重な天寿を全うするキャラになって欲しい…

あと、染谷さんのダリちゃん、ほんとに好きなので絶対生で見たいなって思ってるんだけど、これ以上物語で綴られるくらい辛い目にあって欲しくないって気持ちが大きくて、心がしんどいです。

 

以上!!

末満さん作品刺さるのと刺さらないのの差が大きいのは事実なんですが、それは個人的な解像度の問題なので、TRUMPシリーズ全体としては好きになります。

ありがとうございます末満さん。

ヴェラキッカも楽しみだな!!