くちびるに歌を

くちびるに歌を

散らぬ牡丹の一つでいい。君の胸を打て。

ガイズ&ドールズの感想。人生とは賭けの連続である。

6/23 ソワレ

帝国劇場

あの奇跡の舞台を見てからもしかしてもう半年経ちました……??

 

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序文

昔語りをします。
私は二都物語という小説が大好きでした。
二都物語とはチャールズ・ディケンズが発表した小説です。そしてそれは2013年に井上芳雄さんと浦井健治さんでミュージカル化しています。

 

二都物語を知ったのはのはほんとに訳分からないんだけど受験期です。「息抜きに小説読むか。これミュージカル化したやつじゃなかったけ?」と手に取ったのがきっかけ。読み終わった後に本当にストーリーが信じられなさすぎて、え?って言いながらミュージカルのサイト検索したけど出てこなくて、一生懸命たどり着いた稽古場レポ(?)とStarSブログとYouTube見ながら「これを本当に芳雄さんと浦井くんが演じたんだ……」って噛み締めながら泣きました。

 

二都物語、文章の全てが好きで登場人物の全てが好きでストーリーの全てが好きで、読み終わった後にもう一生こんなに心震える本に出会えないんだろうなって思うくらい好きなんです。こんなに大好きになれる小説を見つけることが出来たのは、ミュージカルが大好きだったからだし、それを芳雄さんと浦井くんが演じた事実があるというだけで100億倍この物語が魅力的に映るんですよ。おふたりに感謝してもしきれない。


私にとって二都物語は間違いなく聖書なんです。

 

本編

そんなこんなで2人に思い入れしかない私が芳雄さんと浦井くんが久しぶりに共演する舞台が開幕するってことで、喜び勇んで会場に向かいました。
このご時世チケットが生きるか分からなかったので、実際は全然見る実感が無いまま会場に到着してしまいましたね……

 

以下登場人物別感想を!!

スカイ・マスターソン(井上芳雄)
彼の生き様を噛み締めているうちに半年たっていました。

いきなりですが、スカイの大好きなところを3つ挙げます!!

 

①聖書を暗記しているところ

聖書を諳んじらるキャラクターは全て私の推しです。なぜなら、私が大好きな二都物語シドニーカートンも聖書を暗記しているから。ほんとに素敵でした……ありがとうございました……

 

キューバハバナ
ハバナのダンスが好き好きで見ながら泣いてしまいました。ダンスパート自体はそんなに長いわけじゃないんだけど、各所にキレが垣間見えてて最高でした。ガツガツ踊る芳雄さんからしか得られない栄養素が絶対ある。

 

③俺のレディ・ラック

スカイの
ラァック⤴︎︎︎ビー⤵︎ ︎ア レィ⤴︎︎︎ディ⤵︎ ︎
の発音がめちゃくちゃ好きなんです。ここだけ一生聞いてたい。

 

私、ディズニー映画だとラプンツェル」のユージーンとラプンツェル、「ズートピア」のニックとジュディが本当に本当に大好きなんですよね。それを踏まえてスカイ・マスターソンをご覧下さい。
…………お分かり頂けただろうか。


サラ・ブラウン(明日海りお)
可愛い中にしっかりとある凛々しさ。

 

単に真面目で頑なな主人公ってだけではなく、裏打ちされた気品があり本当に美しかったです。
いや本当にハバナが最高だったんですよね……何度もはハバナの話をしちゃう。
スカイといる時のサラは本当に可愛くて、「座れ、船が揺れる」が始まる前に顎クイするサラは爆イケで、ギャップが本当に素敵でした。

 

ネイサン・デトロイト(浦井健治)
健気な大型犬。でもしっかりかっこいい。

 

ネイサンが大型犬に見える病気です。スカイとの絡みもアデレイドとの絡みも本当に可愛かったんです。
でも、同時にしっかり全てがかっこよくて。特に、「俺のレディ・ラック」でのターンが最高でした。やっぱりガツガツ踊る浦井くんからしか得られない栄養素があります。

あと結婚式の時のお辞儀も大好きです。

 

ミス・アデレイド(望海風斗)
可愛らしく愛らしい彼女。

 

私は宝塚にはまだ疎いので、現役の時を拝見したことが無かったのですが、男役だった頃の姿が全くチラつかなかった。凄い。役を自分のものにしていて本当に可愛らしかった……
実はあまりも可愛らしいので、オペラグラスでめっちゃ追ってました。
男役時代のお姿も是非見たい!!

 

ナイスリー・ナイスリー・ジョンソン(田代万里生)
ないすりー最高に歌上手いじょんそん

 

「座れ、船が揺れる」が好きすぎます。本当に楽しかった……緩急の表現が上手すぎて、本当に船に乗ってるように見えました。
あと、出はけの度に食べ物をもぐもぐしていたのが最高に可愛かったです。

 

舞台セット
もはや住めるのでは?

 

 


実はガイズを見て以降自分のミュージカルオタク人生の第1章は終わってしまったんじゃないかってくらい満足してしまったんです。前述したように、私は二都物語を人生の指標にしているので。


それはオタクを辞めるって訳じゃなくて、舞台との接し方を変えるかもってことです。学生も終わるし、新しい環境で働き始めて、私はどれくらい舞台を見る時間を割けるのか、そして、そもそも舞台がある地域に住めるのか……色々な不安がありました。

 

配信頼りなるかもしれない、逆に今以上に劇場に通うかもしれない。それは未来の自分に聞いてみないとわからないことです。ただ一つ言えるのは舞台というジャンルには絶対存在しているってこと。

 

どんな環境になっても無理せず趣味を楽しんで生きていきたいな。オタク人生第2章も楽しめますように…………

 

……って幕を閉めようとしてたんですが、実は博多座エリザベートのチケットをありがたいことにゲット出来たのです。つまり……まだもう少しお付き合いくださいということ!!
やったー!!!!!!!!!!!!!!!!

 

 

おまけ

Twitterに載せた悲鳴です。


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ハリーポッターと呪いの子の感想。魔法に彩られた父と子の関係について。

念願の呪いの子見てきました!!

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1回目 プレビュー公演 6/17マチネ

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2回目 8/27 マチネ

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実は気せずしてハリーポッター役以外全く同じキャストさんだったんです。
ただ公演を重ねたこと、そしてハリーポッター役のアプローチの違いによって、全く異なる作品のように見えたのが興味深かったです。

 

まずは、ハリーポッターの違いから

 

ハリーポッター(藤原竜也)
ハリーポッター≠父親
精神が青年期ハリーポッターのまま大人になってしまった人物。人を導く側に立つことに恐れと不安を抱いているように見えました。正直ジェームスとリリーにとっても良い父親であったか心配になる域。
藤原ポッターの父親としての至らなさは以下2つの原因があると感じました。
自分の感情の価値が分からない
ハリーポッターって自己肯定感がかなり低いんじゃないかって思っています。「無価値な自分が他者に与えるものに意味はない」と心のどこかで思っているように見えます。だから自分が子どもに愛情を表現するという重要性を掴み取れないでいるのでは。
「選ばれた者」としての傲慢さ
彼は出生の影響からずっと人生の主人公でした。だから、どんな試練があっても彼は自分の物語として昇華します。息子が困っていてもそれはハリーポッターの試練の1つ。また、彼は作中自己肯定感の低さ故に、戦いで犠牲になった人たちを「自分のせいだ」と言いました。ですが、そもそも自分のために周りが犠牲になったと言い切ることは、自分を中心に見ているということの裏返しではないでしょうか。
そんな歪な父親であるハリーポッターですが、ラストの両親のシーンではアルバスが心配するくらい泣き崩れていて、ああ、この人の心の中にはずっとずっとひとりぼっちだった10歳のハリーポッターが住み着いているんだな。と身に染みて感じてしまいましたね……

 

ハリーポッター(石丸幹二)
ハリーポッター=父親
ハリーポッターの延長線上に父親があるように受け取りました。石丸ポッターは良い父親という役割を全うすることに長けている、つまりは要領が良い人物。しかし、アルバスには本質を見抜かれているように思います。だから、アルバスとは反りが合わなかったけど、ジェームスとリリーにはあんまり苦労しなかったかもですね。特にジェームスは要領が良いので……
ただ、彼も彼で青年期のハリーポッターが居座っている部分があります。アルバスに「お前が息子じゃなければ良いと思っている。」と言い返すシーン。完全にあれは売り言葉に買い言葉で端的に言うと大人気ない。彼の大人になれなかった部分は自分の感情が高ぶると表れるものなのかも知れません。ただそれを踏まえても石丸ポッター将来的にアルバスに寄り添えるようになるようになるんじゃないかな……という希望が持てる終わり方でした。

 

余談なのですか、自分の中でのハリーポッターの解像度が上がったことによりとある演劇作品のTRUMPシリーズの中のダリデリコというキャラクターの事がより理解しやすくなり頭を抱えています。
寄宿舎ものに父親との不仲は付き物……

 

 

アルバス/スコーピウス

初めに演技の変化について触れたいんですけど、呪いの子、アルバスの「ハーモニーの宮殿で暮らす?」のニュアンスとスコーピウスの「……え?」って返事の雰囲気が変わりすぎておいおいおいおいってなりましたね。

プレビュー公演
アルバス「ハーモニーの宮殿で暮らす?(冗談半分本気半分の声)」
スコーピウスの「……え?(同じくらいのトーンの声)」


8/27マチネ
アルバス「ハーモニーの宮殿で暮らす?(拗ねてる感情を押し殺したシリアスな声)」
スコーピウスの「……え?(様子が変わったので単純にびっくりしてる)」
アルバス「…………」
スコーピウス「…………(もしかして……)」
ローズが来るまでの沈黙が体感長くなった気がする……

関係性の揺らぎがよく分かって私は2回目がめちゃくちゃ腑に落ちました。


彼らの絆が恋愛みたいな友情でも、友情を超えた愛情でも、どれでも素晴らしいので幸せを願わずにはいられないですね……

 

スコーピウスはほんとに可愛い上、感情をむき出しにする場面が最高でした。願わくばサソリ王の場面の尺を伸ばして欲しい。
そして、アルバスはシリアスな演技がより真に迫るようになりました。オーグリーに拘束されて以降のとことかずっとやめろって叫んでた気がするし、ずっとスコピが傷つけられることに脅えていました。同級生がアバダケタブラされるところの沈黙や怖さがひしひしと伝わってくるようになって、シリアスなシーンの重厚感が増しましたね……
あの、この方に、

ディアエヴァンハンセンというミュージカルの主人公をやって頂きたいんですけど誰かオファーしてくれませんか?(突然の自我)

 

ローズ
細かい演技が最高でした。特に盗み聞きするシーン。
階段に座り耳をそばだてる→「自分が消えた世界がある」という言葉を聞く→はっとする→壁から手を離し俯く→後ろの子に促されるが聞きたくないとの素振り→後ろの子から肩に手を置かれ励まされる
また、上記のアルバスとスコーピウスのシーンでは「いいんじゃない自信をもって」は憐れみよりもずっと優しさが勝ってたように感じられました。

 

ロン/ハーマイオニー/ジニー/マルフォイ

ロンが会場中の笑いをかっさらってたので、最高でした。特に8/27マチネはめちゃくちゃ会場が温まってたので楽しかった。今後も楽しみなキャラクターです。
ハーマイオニーとジニーの強さも最高です。
マルフォイは不器用だけどしっかりとスコーピウスのお父さんをしていて、憎めないキャラクターだなと思いました。8/27マチネではより茶目っ気がプラスされていた気がします。

 

セブルス・スネイプ
私の推し、エヴァンズの騎士こと、セブルススネイプのお話を最後にしたいと思います。呪いの子でめっちゃ性格良くなって表れるので、びっくりしますよね。私もびっくりしました。
でも案外受け入れてる部分があって、
あの世界案外、人間の素質は変わらないけれど、環境的な要因で性格自体は変わっていると私は捉えていました。ハーマイオニーが男勝りになっていたように。だからスネイプ先生も現実世界とは違うルートを歩んでいるんじゃないかな。導く先生としての性格が強いし、そもそもあんまり性格が歪んでなさそうに見えます。だから、スコーピウスの話を素直に信じて導けたのかも知れません。
ただそんなに変化した世界でもリリーを思うことは変わらないところが彼の素敵なところ。やはりセブルスの人生のサビはリリーなのでしょう。
あともしかしたら彼はハリーポッターが死んだからこそ「彼を助けたかった」と心から言えたのかも。


ほんとに舞台装置は魔法みたいだし、目の前でハリーポッターの世界が広がっているのが夢のようでした。


次はハリポタカフェの予約を勝ち取りたい………!!

辻村深月シアター「ぼくのメジャースプーン」の感想。そして、主人公が抱える地獄とは。

5/25 マチネ

池袋サンシャイン劇場

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それはメジャースプーンで悪意を測りとることではなく、悪意の中にメジャースプーンを投げ込むことだ。

 

ぼくのメジャースプーンとは、
能力を持った主人公が自分を糧に復讐を成し遂げようとする物話です。

その物語を私はどのように舞台化するのかと期待半面不安反面という感じでした。とても丁寧に再構築されていて、本当に感謝しかありません。見たいシーンを全てやってくださいました。
ここから原作者の大ファンなりのどうしても語りたかった感想をぶつけていきたいと思います。

 

 

前提

とても個人的なことなのですが、私は高校生になった「ぼく」の物語(ネタバレなので題名は伏せます)が辻村深月さんの一番最初に手に取った物語でした。なので、私はぼくのメジャースプーンを彼の過去の姿、ルーツとして見ている節があります。
そのようなスタンスで見ていることを加味して以下の感想を読んでいただければ幸いです。


舞台について

 

作品のまとめ方としては、先生との対話に焦点が当たっていて、スピード感や後味の良さを感じることが出来ました。舞台では心情描写をあまり語らないからその影響もあるのかも。小説の「緩やかな地獄」って感じも大好きなのですが、舞台の構成も最高に好きでした。
特に注目したのは「回想」から入るという点です。着地が明示化されることで、途中どんなに困難なことが起きても安心感が持てるという、確実にハピエンに持っていくという意思を強く感じました。


そして、原作ファンとしては回想という構図がありがたかったです。なぜなら、その時のその時の秋山先生の表情を見ることができるから。この表情が絶妙過ぎて……「ぼく」がこの話をしている時に秋先生はどんな顔なんだろうと常に観察してしまいました。特にふみちゃんに「ぼく」が声をかけようとするシーンが印象に残っています。他のシリーズの秋先生の姿と重なる上、考えすぎかもしれないけど、秋先生の表情がかなり痛みを伴うものであったように見えました。


この舞台で心から感謝したいことは「子どもたちは夜と遊ぶ」のキャラクターも「名前探しの放課後」のキャラクターもカットすることなく出して下さったことです。どうかどうかどっちも舞台化してください…………


キャスト別感想

 

ぼく
等身大の小学生であると同時に子供らしくない。それがとてもこの物語の「ぼく」らしいと感じました。私は田中くんの演技を去年のはじめての繭期2021で2回拝見しています。クラナッハとジュリオ。正直未だに同じ人が演じていたと脳が認識してくれません。声とか違いすぎない??田中くん完全に化ける役者さんであまりに魅力的すぎる……

 

舞台でハッとさせられた印象的な場面があります。ぼくの「声」を使ったときの目線の鋭さです。

 

私、小説を読んだ時点ではずっと彼は自分の贖罪に耐えきれなくなったのだと思っていたんです。だから自分が死ねる且つ犯人を捕まえられるあの作戦を決行したんだと。しかし、今回舞台を見て印象が変わりました。彼は死にたかったというよりも確実に犯人を仕留めることが出来る方法だからあれを決行したんだ。あの田中くんが演じたぼくの鋭い目線からそのように強く感じました。


ぼくの賢くて計算高いところが本当のぼくの姿であり、この「賢さ」が彼の小さな地獄なんですね。

 

私は神木隆之介くんのファンで、彼の孤独感や寂しさを感じる演技が大好きです。笑ってるのにどこか風にさらわれそうな、陰りや切なさを含むような、そんな顔が大好きで。田中くんから似た雰囲気を受け取りました。


そして田中くんの演技って水だなと感じています。限りなく澄み切っていて静かで、どんな形にも変化できる。本当に今後の成長を見てみたい俳優さんです。


そして、高校生になった「ぼく」めっちゃ似合いそうなので田中くんに演じて欲しい………お願いします……


秋山先生
秋山先生のチャーミングな部分の奥に怖い部分と容赦のない部分が見えて本当に感動しました。秋山先生も人間で、間違えるし狼狽えるんだなって。だからその最後の怒りの説得力が増すと思います。彼が「正解」ではないと気づくことが出来たのがこの舞台の最大の発見でした。
岡田さんの演技は刀ステ維伝で見ているのですが、こちらも脳内が同一人物であると認識してくれません。すごいお方だ。

「僕も何度かその手を使ったことがあります」
その言葉に揺さぶられました。秋山先生って「正解」では無いんですよ。そして自分が正しくないことに自覚的です。秋先生の容赦の無さ、もしかして何かバックボーンがあったりするんですかね……ずっとずっと若い時とかに……

先生が自身の因果の話をしている時に月子ちゃんが来るのが意味がわかると怖い話なんですよね…「今はただ報いを受ける時静かに待っている」。先生の報いはどんな人の形で現れるんだろう。

そして、秋先生の「声」。「手を離しなさい、さもないと――」で止めたの最高に好きな演出だった。容赦がない彼は犯人にどんな罰を提示したのでしょうか。
ほんとに凄かった…
子どもたちは夜と遊ぶもやって欲しいです…


幕間 大好きなセリフ3選

「先生、人間は他人のために泣くことは出来ないって本当ですか」
→田中くんの震える声が完璧すぎました。

「責任を感じるから、その人が悲しむのが嫌だから、そうやって自分のための気持ちで相手に執着する。その気持ちを人はそれでも愛と呼ぶんです。」
→秋山先生の怒りと愛情の共存がすごい。

「あなたの非力なナイトは一生懸命でしたよ。」
→岡田さんが優しさに満ち溢れていて思わず泣いてしまった。

 

ふみちゃん
等身大の小学生に見えました。見に行ったときに地面に座る時にオフマイクで「よいしょ」って言っていたのが聞こえて、本当に小学生だ……と感動した。ふみちゃんのハッピーパワーでこの物語の後味がさわやかになっていると強く感じます。

 

たかし/犯人
たかしって正義のひとなんですよね。めちゃくちゃ頭が良い。喧嘩を仲介したり、会話をまとめたり。(ふみちゃんを利用しようとするちょっと卑怯なところもありますが)
対して犯人はどうしようもない悪意。演じ分けが凄い。

また、動物園のシーンがチャーミングでした。黑世界の雷山がよぎりました笑


ともくん/動物園のお兄さん
ともくんと動物園のお兄さん同じ役者さんがやっているの本当に「わかる」んです。正直この点でめちゃくちゃ泣いてしまいました。そうです。彼らは同じ色をしてる。

 

あーちゃん/弁護士
自己表現する者と代弁する者。
めちゃくちゃ綺麗なお声で聞き取りやすくて素敵でした。

 

お母さん/研究室のお姉さん
どちらもぼくの避難所的存在。チャーミングでこのシリアスな舞台の緩和剤になっていました。

 

ふみちゃんのお母さん/先生
どちらも子どもたちを見守る者。優しさと大人のリアルさが同居していたとても素敵な人物像でした。

 

最後に。秋先生がかつて自分の能力の話をした際、「好きだった人のために」って文言で脳内にある人物が浮かんできました。私の大好きなある作品のキャラクターです。彼はもうこの物語にはいないけど、確かにそこに息づいていた痕跡を感じることが出来ました。本当にありがとうございます。


そして、どんな復讐をしますかのシーン、「子どもたちは夜と遊ぶ」を読んでいると解像度が最高になるので心からおすすめしておきます。 あの場面はそれぞれの考え方が反映されてている上、実はあるキャラクターの生き様のアンサーになっています。


「ぼく」と先生が目指した正しさとは


私は初めてこの物語を読んだ時、ぼく視点でこの物語を読んでいました。ただ、最近再び読んだら秋先生視点で読むように変わっていたんです。
「10歳の子どもは守られるべき存在だ。本人がいくら賢くてしっかりしていてもあの結果を招いてしまったのはダメだった。」
大人且つ教育を学ぶものとして強くそう思うようになっていました。

だから、秋先生が本当に「ぼく」を叱ってくれたのが本当に救いになりました。
そして、このインタビューの捉え方が本当に大好きだったんです。

 

ステージナタリー on Twitter: "【関連特集】小説から舞台へ、舞台から小説へ…「かがみの孤城」再演&「ぼくのメジャースプーン」初舞台化、互いに影響を与え合う成井豊×辻村深月が届ける「辻村深月シアター」 https://t.co/Xmf1Q3ZKCo" / Twitter


「ぼく」も秋先生も完璧じゃないからこそ好きなキャラクターなんです。「ぼく」は自分を軽んじる傾向があるし、秋先生は容赦がない思考回路の持ち主。その気質のせいで間違うこともあるかもしれないけど、それでもちゃんと彼らは正しさを探していける。強くそう信じられます。


「ぼく」の地獄について

 

辻村深月さんの作品の登場人物は皆小さな地獄を抱えていると思っています。地獄っていうのは簡単にいうと心に深く根ざしているトラウマ。心の奥にある真っ黒い部分。
辻村深月の世界の登場人物たちはその地獄を乗り越える訳ではありません。内包してそれでも前を向いて生きていく。(例外として地獄があった事実すら忘却されてしまうパターンもありますが……)

ぼくの地獄は「賢さ」だと私は考えます。

彼は小学生であるのに、大人の予想を遥かに上回る行動を見せました。そこまでするのかとなるほどの。彼はずっと大人より賢い。周りのことが冷静に見えていて、どうしようもない悪意に関してずっと多く理解していました。だから、自分を糧にして復讐を遂行しようとしました。それが1番確実に悪を仕留める方法だから。ただ彼は賢いけれど等身大の小学生なんです。だから決意をしたとき死を怖いと思ったし、身体にも影響が出たのです。
(余談ですか、作戦決行前のあの様子はある他作品のキャラクターの描写と似てるなと感じています。人は誰かを殺すときも殺される時も思っているよりもずっと心身に不調が出る。どんなに強い意志を持っていても人間は弱い生き物なんだろう)

 

 

※突然ですが

高校生の「ぼく」のネタバレ注意※

 

 

 

 

高校生になった彼は生きるために、その地獄を隠蔽することにしました。彼は人懐っこくて友達思いで何も考えていない等身大の高校生男子であろうとしました。どこか浮世離れしていて飄々としている彼。「賢さ」を周りから隠すことで、ずっと前よりも生きやすくて、悪意からも死からも遠ざかることが出来るのです。つまりこの性格は彼の武装

 


だからこそ、私は続編が怖いのです。
罪と罰に向き合う時、彼はその武装を解いて、自分の地獄を見つめ直さなければいけない。
しかも、テーマは私刑はありかなしか。「声」は相手に罰を与える能力。もう私刑をしてしまっている彼にとってそれは自分自身の存在意義を問うテーマになります。
豪華客船という閉塞的な空間で、コンパスという今度は方角を「測る」道具を持って、彼はどんな風に正義を掴み取って行くのでしょうか。

 

彼の人生に幸せがありますように。

そして、今後辻村深月シアターに展開があると良いなとワクワクしながら待っていようと思います。

 

 

 

 

おまけ

Twitterに載せた悲鳴です。

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辻村深月作品のすすめ。

 

辻村深月シアターが開幕するぞ~!!!


ということで辻村深月さんの大ファン且つ観劇オタクの私が勝手に辻村深月作品をプレゼンします!!!
特に今回は「ぼくのメジャースプーン」に関連があるような「痛いくらいの青春が突き刺さる小説」をピックアップしてみました。
気になる作品があったら是非手に取ってみて欲しいです。

※あらすじは各ホームページの文言を再構築したものです。

 

辻村深月さんの作風は?

辻村深月さんは心温まるミステリや社会問題に切り込む社会派小説、頑張る人を描くお仕事小説様々な作品を書いていますが、青春の痛みを具現化したような小説を書いているのをご存知でしょうか。叙述トリック、登場人物の内面を覗き込むかのような文章、そして若さゆえの間違い。それをほんの少しファンタジーを添えて描くのが辻村さんの醍醐味です。
また、作品内で登場人物がリンクしていることが多くあり、旧友と再会できた時のような喜びを読書をしながら感じることができます。

 

〇「ぼくのメジャースプーン」とのリンクがある作品

・ぼくのメジャースプーン直後に読んで欲しい
「名前探しの放課後」上下

 

あらすじ
依田いつかは藤見高校に通う高校1年生。ある日、ふと気が付くと、そこはいつかの知る3か月前の世界だった。いつかは、クラスメートの坂崎あすなに相談を持ちかける。「今から俺たちの同級生が自殺する。でもそれが誰なのか思い出せないんだ」ー。

コメント
何も聞かずにとりあえず読んで!!!!!!
タイムスリップ×青春×ミステリの最高傑作です!!!!

 

・秋山先生について詳しく知りたい人へ
「子どもたちは夜と遊ぶ」上下

 

あらすじ
ゲームが終わったら生き別れた兄に会える。そう信じ次々と殺人ゲームを進めていく木村浅葱。だが、次第にそのゲームは周りの大切な人達をも巻き込んでいく。「人間には誰でも、大好きで泣かせたくない存在が必要なんだって。」孤独の闇に支配された子どもたちが招く事件は、さらなる悲劇を呼ぶ―。

コメント
保育士を夢見る芯の強い女性である月子。優等生で秀才の狐塚。不真面目だがずっとある人を思い続けていて、ずっと「早く死にたい」と思っている歪な恭介。そして物語を動かすキーとなる色白茶髪の美青年で犯罪に手を染めてしまう人物浅葱。愚かで愛おしいキャラクターがばかり。ミステリ要素がかなり多いのでミステリ好きにもおすすめ。
次に舞台化するなら絶対これ!!!!!!と思っている作品です。
※こんなに文章量が多いのは私が1番好きな作品がこちらだからです笑

 

・ふみちゃんのピアノ教室に通う少年の物語
「凍りのくじら」

 

あらすじ
父が失踪して5年。高校生の理帆子は、夏の図書館で「写真を撮らせてほしい」と言う1人の青年に出会う。戸惑いつつも、他とは違う内面を見せていく理帆子。そして同じ頃に始まった不思議な警告。ドラえもんへのリスペクトを随所に感じる「少し不思議」な物語。

コメント
当時高校生だった私が読みながら号泣してしまった作品。人生に大切な何かをきっと教えてくれます。

 

〇「ぼくのメジャースプーン」とのリンクはないが「青春」を感じる作品

・デビュー作にして究極の学園ミステリ
「冷たい校舎の時は止まる」


あらすじ
雪降るある日、いつも通りに登校したはずの学校に閉じ込められた8人の高校生。開かない扉、無人の教室、5時53分で止まった時計。凍りつく校舎の中、2ヵ月前の学園祭の最中に死んだ同級生のことを思い出す。でもその顔と名前がわからない。どうして忘れてしまったんだろう――。

 

・キラキラした青春を感じたい人へ
「島は僕らと」

 

あらすじ
この島の別れの言葉は「行ってきます」。きっと「おかえり」が待っているから。 瀬戸内海に浮かぶ島、冴島。朱里、衣花、源樹、新の四人は島の唯一の同級生。フェリーで本土の高校に通う彼らは卒業と同時に島を出る。淡い恋と友情、大人たちの覚悟。旅立ちの日はもうすぐだ。


〇最後に

この中に書ききれなかった作品ももちろん沢山あります。皆さんも自分にぴったりな作品を見つけて見てください!!

 

そして、

明日はぼくのメジャースプーンの初日!!!

辻村深月シアターの完走を心からお祈りしています!!!

ヴェラキッカ(配信)について

ヴェラキッカの感想をまとめました!!

見たのは、

1回目 1/18 最前列カメラ

2回目 1/22 末満健一スイッチング

3回目 2/22〜8Kオペラグラス配信

全て配信ですがまんまどハマりました…現地行きたかった……


これは完全にネタバレなので呟けなかったんですが、
ヴェラキッカ、「GOLD」っていうドラマでも行われていた叙述トリックで……その人は特定の人にしか見えていないユーレイで、その人がいなくても会話が成り立っていた……
そのドラマで幼ながらにびっくりして感動した経験をまさかヴェラキッカで味わえるとは思っていませんでした。ちなみに辻村深月はこの叙述トリックを大得意にしているので、辻村深月ファンの私は初めからヴェラキッカに負けることが決まっていました。
あと、シオン・ヴェラキッカが「私の推しそのもの」でした。私が好きな「喪失・追慕・自己犠牲」を全て加えて煮詰めたようなキャラクターでした……こんなにハマるとは……

 

目次

 

ヴェラキッカ大好きな場面まとめ

♪愛は毒だ

・ある地点でシオンがノラと重なるように一瞬ゼロ番にくるので吐きそうになりました

・シオンの振りが人の域を超えています。
心臓を無理やり取り出すような動き→銃で撃たれるような動き→蘇生
って感じがする大好き 身体の弛緩→緊張が並外れすぎてて何???ってなりました。

・愛は毒だ、大好き過ぎて主要キャストを一人一人アップにして振り付けをじっくり堪能してしまいました。

・LILIUMもそうだけど全ての曲がひとつももらさず大好きだったんですよ…この…なに??(混乱)

♪3つの罪悪感
「誇り高きヴェラキッカ」のリズムの荘厳さが呪いを増長させている。

「きっと」外に出られるというシオンの台詞
シオンがノラに与えた無責任な希望。

カイがノラと踊るシーン
美しき狂気。作中で一番好きなシーン。

♪幻想幻愛メランコリック

・全てが好き。

・行き交う人々の中にシオンだけが項垂れてポツンっと立っている光景。祈る人々の中にシオンだけが正面を見すえてポツンと立ってる光景。どちらも綺麗で悲しい。

・幻想幻愛メランコリックも大好き過ぎて主要キャストを一人一人アップにして振り付けをじっくり堪能してしてしまいました。

・末満スイッチングの回、曲間でシオンが泣きそうになる息を飲み込む声が奇跡的に入っていたのですが、悲しくて切なくて…

・シオン以外が跪き祈りを捧げるシーン、皆がそれぞれの手の握り加減、うつむき加減で祈っていて、その手を開く時も個性が出ていてそれを見ながら涙が止まらなかったです。

♪嘘は真実
キャンディも養子たちも本当に上手くてバグる。 1音も外さないし、パートバランスも完璧。

♪あの日の続き
本当に普通にラブソングだからメリバが隠蔽されているように思いますね。
何を言ってる。ハピエンだろ???(2秒で変わる情緒)

ラストの照明がスイッチのように消える演出
私たちはあの世界の続きを知る由もないということが突きつけられた気持ちになりました。

 

結末の解釈

①.②が絶妙に混ざりあっていて、余白でどんな解釈もできる怖い作品であると私は感じました。

ちなみに私は1回目見た時は①に近い気持ちを感じましたが、2回目、3回目を見た時は②であると感じました。

見る度に解釈が変わるんですよ。
1回目は君はそれで良いのか…となるメリバに
2回目は恋が成就したハッピーエンドに
3回目はシオンに取っての救い(救いの話は後述)  

に見えました。

 

①故人を思う話、失われたものと繋がり続けようとするための話

ノラ≒幻影ノラ

ノラを弔うために人々はノラの幻覚を見ていたという解釈。でもさ、シオンの気持ち考えたことあります??ずっと茶番劇を見ている立場だったんですよ???シオンはちゃんと幻覚に溺れる人たちを放置しなかった。自分があの屋敷を逃げることも出来たのに。誰かに命令して自分を噛むことも出来たのに。
シオンにとって「贖罪」とは自分はイニシアチブに入らず外側にいること自体そのものだったのかなと私は感じます。
しかし、ラストは幻に囚われて生きることを選ぶ。まるで今までの行いの報いを受けるというラスト。結局シオンはひとりぼっちだった。
ハッピーエンドなのかもしれないけど、これは不健全で残酷なハッピーエンドだと思いました。
シオンは現実に生きることを選べなかった。
ノラと生きることを選んだ。
私はあのシーン、シオンの「主観がなくなった」ような気持ちがしたんです。本当ののシオンはノラとの永遠を望んだのか?彼らが幸せであればあるほど私たちは怖いなと。


②自己愛の話、自分自身の慰めのための話

ノラ≠幻覚ノラ
幻覚ノラを愛することは自分を愛すること。幻覚ノラは登場人物の「写し鏡」として機能しているとも捉えられます。
そもそもシオンは終わらせたかったからキャンディをヴェラキッカに引き入れたんだろうと私は解釈します。どこまで手を回したかは分からないけど、元々はシオンが始めた幻覚のノラがキャンディに肩入れするのもなにか意味がありそうだなと。そして幻覚のノラが幻覚を終わらせてくれって懇願するのもおそらくシオンの無意識の願望だった。
あの幻覚のノラがどれくらいちゃんとノラなのかによって解釈が真逆になります。ノラは完全にシオンの願望でしか形作られてないとしたら、キャンディに愛し返したノラも、共同幻想もやめたかったノラも全部=シオンになるんですよね……となるとラストはハッピーエンドでは無くないか……もう分からないけど……
シオンは本物ノラではなく幻覚ノラの手を取ってしまった。シオンの花言葉ギリシア語で星という意味です。彼はノラにとっての届かない星のでしょうか。あと、シオンに最初にイニシアチブを取られたカイが最終的にシオンのイニシアチブを取るの二本の鎖なんですよね。
こちらのラストはラストでノラにとってあまりにも残酷なんです。


シオンヴェラキッカという男

前述した3回目に感じた事なんですが、あのラストはシオンにとっての救いなのかもという所感。

8Kの配信(大千穐楽)のシオン、精神的にすごく衰弱しているように感じました。これは表情とかをよくよく見れたことも影響しているかもだけど。
1、2回目に見たシオンは悲しくて泣いているって感じがしたのですが、今回は感情自体が壊れてしまってるようで。抜け殻のようだった。
特に思ったのは目線。ほんとに「何も視界に入っていない」というか、「目に映る世界をとらえようとしない」ように感じたんです。
ずっとノラが1人だけ見えてない生活をしていたシオンが、皮肉にも独白以降ノラ以外の人も見えなくなってしまったように思えてとても悲しかった。
これはもしかしたらカイ含めヴェラキッカ家みんなにも顕著にわかることだったかもしれない。シオンの心はこのまま死んでしまうって。
だから今回はカイがシオンを噛んだことはその心の死を食い止めるための、生きるための、救いに見えました。まさに「生きるために必要な幻想」だったのかもしれない。

 

シオンのラストは、
解放なのか
呪いなのか
死者を身勝手に2度目に殺すことなのか
愛ゆえに死者を悼む心なのか
現実からの狡い逃亡なのか
今まで苦労してきたシオンの救いなのか

シオンが噛まれたことは、

シオンへの集団の善意ゆえの労いなのか
シオンへの復讐なのか
そもそもカイはシオンに操られてはいないのか

結局、

シオンはノラに手が届いたのか
シオン自身が「星」でしかなかったのか

 

解釈次第に何通りにもなるよ……凄い物語だ……


シオンヴェラキッカ好きな場面まとめ

・シオンさん感情が歪むと片方の口角が上がるんですよね……1幕終わりもそれしてた……

・ノラが見えてないと判明する時のシオン本当に良い表情をしてます。キツすぎる。

・2回目の配信、シオンが明確にカイの事を恨んでいるように感じました。「お前が」でがなり入れてる。カイの時は声を荒らげている。8K配信は逆にカイに怒りというか苛立ちを感じてたような…

・シオン感情が高ぶれば高ぶるほど声を静かにする癖がある、ずっとそうやって生きてきたの…?

・カイを噛んだの初めから思いついたんじゃなくて徐々にあのノラの言葉から思いついて噛んだんですよ…自分を納得させるように頷いているように見えた。

・好戦的なノラに対してシオンがえずいてゲホゲホしてるのが無理すぎる。身内を噛んでるんですよ。良心の呵責が無いわけない。

・ジョーに「ノラが望んだことなんだ」って言うの、身内だから見せるような子供じみた言い訳に聞こえて。本当に、どういう気持ちで見れば…?

・ロビンに頼まれた時のシオンの顔がつらすぎて私がおしまいになった。本当に絶望した顔をしていた。

・3回目の配信のシオン、ずっと込み上げる思いを抑えて抑えて話していた。キャンディに「沢山の人に愛されたいというのも、ノラの願いだったから」と言う場面。語尾が震えて今にも嗚咽しそうになっていて、シオンにとってのノラは「故人」と割り切れるレベルのことじゃないんだって痛いほど伝わりました。辛すぎる。


余談


幻想幻愛メランコリックの「だから例えばの話をしよう」って歌詞で涙腺がいつも壊れます。
言葉選びが琴線に触れすぎるんです。
私はミュージカルの誇張表現する歌詞が大好きで。この世界終わりが来ても愛を誓ったり、神様に喧嘩売ったり、99年一緒にいようって言ったり。
口に出すと白々しくなってしまうものなのに、メロディに載せると恐ろしく綺麗なものになるのが大好きでたまらないんです。
ありがとうございます。

 

おわりに


シオンの花言葉「追憶、君を忘れない、遠方にある人を思う」でした。
もう

やめてください……………
また、余談なんですけどスノードロップ花言葉は「希望、慰め」のほかに「あなたの死を望みます」だそうです……

なんて???

この後にLILIUM再演するのもはや暴力ですよ末満さん……

今度繭期夜会があったら、シオンとスノードロップ(スノーフレーク)のアクセサリーか香水かなんかをつけて参戦することにします…ところで、ダリちゃんのモチーフってなんですか??ダリの絵??あの溶けてる時計の絵???
誰か良い案があったら教えてください……

 

何はともあれヴェラキッカ家に出会えて本当に楽しかったです!!感謝!!!

2021年観劇まとめ

晦日なのにサークルの撤収作業がありまして、感想を書く時間がありません!!年越しも帰れません!!!なぜ!!!!

 

最終手段として箇条書きします!!!

4/28 ソワレ マスターピース(TEAMNACS)
6/4 終わりよければすべてよし
8/3 ヨルシカライブ 盗作
11/5ソワレ ナイツテイル
11/27 マチネ パ・ラパパンパン
12/13 マチネ SOML 兄ペア

 

配信・映画

・箱の中のオルゲル(配信)

・さんかく窓の外側は夜(映画)

・takeoff (KKP)

名探偵コナン緋色の不在証明(映画)

・振り子とチーズケーキ(KPP)

刀剣乱舞天伝(配信)

・search(映画)

刀剣乱舞天伝(ライブビューイング)

刀剣乱舞无伝(配信)

るろうに剣心final×2(映画)

井上芳雄ライブ

・スリルミー×3(配信)

・17again(配信)

名探偵コナン 緋色の弾丸(映画)

高慢と偏見とソンビ(映画)

マタハリ(配信)

・舞台刀剣乱舞无伝(配信)

・何者(映画)

ロールシャッハ(KPP)

・劇場版おいしい給食(映画)

・映画刀剣乱舞 (2回目)

・舞台刀剣乱舞悲伝(2回目)

・preciousmoment(配信)

・mesemoaライブ(配信)

スポンジボブミュージカル

サマータイムマシン・ブルース(映画)

・月影花之丞大逆転(WOWOW)

・シンデレラ(映画)

スペシャルアクターズ(映画)

・パーム・スプリングス(映画)

・狐晴明九尾狩(ライブビューイング)

・ジャック・ザ・リッパー(配信)

・Cube(映画)

・SPECTER(はじめての繭期2021)

・月の翳り(はじめての繭期2021)

・星ひとつ(はじめての繭期2021)

グランギニョル(ブルーレイ)

燃えよ剣(映画)

るろうに剣心 Beginning(映画)

・パラパパンパン(配信)

・狐晴明九尾狩(ディレイビューイング)

・DearEvanHansen(映画)

・フェイクスピア(WOWOW)

・劇場版あなたの番です(映画)

 

以上!!!

教訓!!!早めにやる気があるうちに感想を書くこと!!!!!!

今年は去年よりはたくさん舞台に行けた気がするのでまたゆるゆると楽しんでいきたいですね。

来年もよろしくお願い致します。

 

 

ストーリー・オブ・マイライフ 12/13 マチネ 兄ペア

12/13

マチネ

読売大手町ホール

兄ペア

 

SOML初見の感想
「日本一明るい葬式ミュージカル???審議です」

 

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トーマス(平方元基)
・私も地元を出たいと思っている上、ほんの少しだけアルヴィンのような友人がいたことがあったので辛くなりました。咀嚼すればするほど心の柔らかいところをついてきて心が痛い。
・最初から追い込まれてはいたのですが、真相が分かっていくにつれてどんどんびしょ濡れになった犬みたいな顔になっていくトーマスが辛かったです。
・最初に出てきたエピソード全てがトーマスの描いた物語になってしまっていると知った時鳥肌が立ちました。「追いかけていたのは、君じゃなくて僕だった」…
・確かにこの物語はここで終わればハッピーエンドなのですが、アルヴィンの物語を描けなくなったトーマスが一体どうやって生きていくのか…そう考えるとハッピーエンドとは言えないのではないか…

 

アルヴィン(田代万里生)
・ふわふわ生きてたアルヴィン。すごくチャーミングな前半からずっと悟りを開いたように微笑んでいる後半がもう辛くて辛くて堪らなかった。
・ストーリーオブマイライフのmyって誰だったんだろうね…

・彼にとってトーマスとの友情は「恋みたいな友情」だったんだろうな。恋愛ではない。でもそれに等しいくらい重い友情。

・アルヴィン、街を出れなかったことがショックだったというよりトーマスに蔑ろにされたことがショックだったんだと思う。

・「分からない」で終わらせると思わなくて、うわあああって思ったし、それが一番正しいんだよな。一番酷だけど。いくらでも美化出来たし、逆にトムを悪役にすることも出来たのにアルヴィンはそれをしなかった。


アルヴィンはどういう存在なのか/あの本屋はどのような空間なのか

①トーマスの想像/トーマスの心の中の本屋
初見の時感じたのはこの解釈かな。
全てトーマスの脳内で起きていること。本屋は脳内にあるイメージであり、あの弔辞を書いてと言ってくる現実空想軸アルヴィンはあくまでトーマスの中で再構築されたアルヴィン。トーマスの心が飼っているアルヴィンってこと。ただ、この解釈だと現実のアルヴィンは喧嘩別れしたアルヴィンで、ずっと寂しかったアルヴィンで、しんでしまったアルヴィンになるので本当に救いがなくなる。

②アルヴィンの亡霊/生と死の狭間にある本屋
フォロワーさんの解釈でハッとしたもの。トーマスがあの世とこの世の狭間の国でアルヴィンと対話しているという解釈。これだとちゃんとアルヴィンと仲直り出来ているので大変救いがあります。

③アルヴィンの亡霊/本当の本屋
こっちの線もあるかもしれない。

 

アルヴィンはなぜしんだのか
物語の性質、そして教訓上「分からない」が正解なので深く掘り下げようとは思わないのですが、事故なのか自死なのか。もし自らだとしたら、トーマスへの反発が産んだものなのか、絶望が産んだものなのか、それとも他に事情があったのか。個人的にはフォロワーさんが「トーマスに書いてもらうため」という解釈をしていて1番希望がありしっくりきました。

私たちはこのように物語をつけようとしてしまうけれど、彼の物語のエンディングは彼にしか分からないんですよね。肝に銘じておきたい。

 

SOML、現代軸の本屋とアルヴィンの解釈、アルヴィンの死の動機の2つは観劇した人に該当アンケートしたい内容ですね…みんなそれぞれの解釈を持っていそう。

 

 

SOMLの中で1番好きで1番怖かった曲は通称「カオス」でした。私の脳内では「地獄のエレクトリカルパレードって呼んでいた。トーマス側には初めて話すセリフが含まれているという噂があるので次はじっくり聞きたいです。


「なんかよかったな〜」ってさわやかに終わってはいるけど、考えれば考えるほど何も良くなかったことが分かるミュージカルが大好きです。

再演したら最前でおふたりの表情を是非見たい!!!